2022年6月11日~6月12日、長野県高山村 YOU游ランドをメイン会場として開催した Japan Bike Technique 2022大会の結果を公開します。

なお、当初予定しておりました「05 来場者ポイント」は新型コロナウィルスの関係で来場者が少なかった為 採用を見送りました。

公開内容は、点数のみとしております(順位に関わらず各チームの工夫・技術を観て頂きたいとの意図に依るものです)。

01,02 重量

重量は、以下の2種について計測を行いました。

  • 車体本体重量:走行可能状態である車体本体にドロヨケ・電装・キャリヤ等を含めた車体重量を測定。
  • 装備重量:実走行時重量から車体本体重量を除いた重量
重量測定中
Noチーム名実走行状態重量車体本体重量装備重量
01戸田橋 cycle works12,850g11,600g1,250g
02テンション シルク7,700g6,650g1,050g
03montson12,500g10,250g2,250g
04KAWAKAMI TITANIUM7,350g5,850g1,500g
05Hyozen Plant19,150g16,750g2,400g
06グランボア11,950g10,100g1,850g
07オオマエジムショ10,650g9,150g1,500g
08NAGARA 自作自転車秘密研究所10,550g9,500g1,050g
09Panasonic14,500g12,400g2,100g
10グランボアebike20,300g15,500g4,800g

フレーム素材は、下記となっていました。

  • 04 KAWAKAMI TITANIUM:チタニウム
  • 08 NAGARA 自作自転車秘密研究所:カーボン
  • 02 テンション シルク:鉄(クロモリ)+ダウンチューブは化学繊維の糸(ダイニーマ®)
  • 以外:鉄(クロモリ)

フレーム素材にスチール以外を採用した車両は重量面で有利となりました。特にチタンを採用した「04 KAWAKAMI TITANIUM」は車体本体5.85Kgと言う驚異的な記録となりました。

「05 Hyozen Plant」及び「10 グランボアebike」は電動アシスト機能を装備しており、モータ及びバッテリーの存在が重量面で不利となっていました。

新素材系が有利な中で「07 オオマエジムショ」は鉄を採用したチーム中、唯一9Kg台を実現していました。

03 ボーナスポイント

ボーナスポイントは、ツーリング車のアイコンである下記装備の採用状態に対してポイントを付与します。装備の採用が重量面で不利にならない様にポイントは重量換算としてあります。

  • ドロヨケ:1000point(1Kg換算)
  • キャリア:500point(500g換算)
  • ダイナモ給電:500point(前後各、500g換算)
カーボン製キャリアを採用した車両。洒落っ気も。
Noチーム名ドロヨケキャリアダイナモ給電(前)ダイナモ給電(後)ポイント合計
01戸田橋 cycle works1,000500001,500
02テンション シルク1,00050050002,000
03montson1,000500001,500
04KAWAKAMI TITANIUM1,00050050002,000
05Hyozen Plant00000
06グランボア1,0005005005002,500
07オオマエジムショ1,000500001,500
08NAGARA 自作自転車秘密研究所1,0005005005002,500
09Panasonic500500001,500
10グランボアebike1,0005005005002,500

確実に装備を備えた「06 グランボア」,「08 NAGARA 自作自転車秘密研究所」,「10 グランボアebike」が満点を獲得しています。

04 プレゼンテーション

チームの作品たる自転車をプレゼンテーションします。

自身の作品に込める思い、乗り手の事を考えたアイディア、制作の苦労等を持ち時間10分を使い5名の審査員に向けてアピールします。

審査員はそれぞれの持ち点1,000ptを10チームに割り振る形で採点・集計を行いました。評価ポイントは コンセプト・技術力・実用性・デザインの4つを設定しました。

プレゼンテーション中
Noチーム名コンセプト技術力実用性デザインポイント合計
01戸田橋 cycle works100100100100400
02テンション シルク10010075100375
03montson100100100100400
04KAWAKAMI TITANIUM10010050100350
05Hyozen Plant10010010075375
06グランボア100100100100400
07オオマエジムショ100100100100400
08NAGARA 自作自転車秘密研究所100100100125425
09Panasonic100100150100450
10グランボアebike100100125100425

各チームの作品は、どれも甲乙付け難く、審査員も評価に苦心した様子が見て取れます。その中でも以下のチームの特徴が結果に表れた形となっています。

  • 「09 Panasonic」前回大会の反省から、輪行に振り切った実用的な機構が評価されました。
  • 「08 NAGARA 自作自転車秘密研究所」アマチュアでありながら、情熱で並み居るプロビルダーと肩を並べる作品と遊び心が評価されました。
  • 「10 グランボアebike」既存車体の電動化アプローチが評価されました。

06 Ride

Rideには「ヒルクライム」「旅ポイント」「ダウンヒル」の3種のポイントを設定しました。

ヒルクライム

メイン会場(標高600m)をスタートし、笠ヶ岳峠(標高1905m)までの距離23Km、標高差1305mのヒルクライムを競いました。

午前4時、夜明け前にスタート
旅ポイント

ルート上に設定した三箇所のポイントで、ライダー自身が撮影した写真をSNSに投稿し、「いいね」をポイントとして加算する試みです。

ダウンヒル

グラベル(未舗装路)のダウンヒルとなる為、スピードやタイムを競うものでは無く、規定された時間通りに走行する必要があります。安全対策として導入しました。

規定時間より速い場合減点となります。また規定時間より遅い場合も減点となります。

Noチーム名ヒルクライム(Time)ヒルクライム(ポイント)旅ポイントダウンヒル(Time)ダウンヒル(ポイント)ポイント合計
01戸田橋 cycle works2:45:4020001:49:000200
02テンション シルク2:57:35100241:29:00-100120
03montson2:11:25300151:39:000375
04KAWAKAMI TITANIUM3:33:505001:24:00050
05Hyozen Plant3:35:05051:59:00-50-25
06グランボア1:45:15400231:16:00515
07オオマエジムショ2:52:45150132:38:00-50165
08NAGARA 自作自転車秘密研究所2:29:20250521:39:000510
09Panasonic1:48:30350322:00:000510
10グランボアebike1:39:55450221:41:000560

ヒルクライム区間では、「10 グランボアebike」の電動アシスト車の強さが目立ちました。もう一台の電動アシスト車「05 Hyozen Plant」は、制御機構のトラブルで設計通りのパーフォーマンスが得られなかった模様です。

旅ポイントについては、周知が不十分であったためか十分な反響が得られませんでした。一方でサポーター?を抱えているチームの強さも目立ちました。

ダウンヒルについては、大幅なスピード違反は1チームのみでした。一方で遅いチームも有り、マシンの性能やタイヤの選択の問題と言うよりライダーの特性が表れていたように思われます。

07 走行後車検

全ルートを走行後の車体状態を検証し、破損個所を減点とします。チェック内容と減点内容は以下の対象を設定しました。

  • 乗車不能のフレームとフォークの破断又はクラック:失格
  • フレーム/フォークの使用可能なフレームの変形:-500
  • 変速/トランスミッション廻りの故障:-500
  • 照明の故障・紛失・機能不全(前後各):-250
  • 泥除けの離脱・破損:-500
  • ブレーキの破壊や劣化・動作不能:-500
  • ハンドル、ステムの破損(曲がった、割れた):-500
  • 工具・ポンプの破損・紛失:-250
  • ボトルケージ紛失または破損:-250
  • キャリアの破損・紛失:-250
  • ホイール リムの変形:-400
  • フリーホイール機構の破損:-200
  • サドルおよびシートポストの破損:-500
Noチーム名ポイント合計
01戸田橋 cycle works0
02テンション シルク0
03montson0
04KAWAKAMI TITANIUM-250
05Hyozen Plant0
06グランボア0
07オオマエジムショ0
08NAGARA 自作自転車秘密研究所-500
09Panasonic-250
10グランボアebike0
走行後車検。詳細にチェックします。

前回2019年大会の経験を踏まえた為か、破損が検出されたチームは3チームのみでした。軽量化だけでは無く高い信頼性が確認できたと言えます。

08 輪行

輪行については、2つの評価方式を設けました。

一つ目は「輪行タイムトライアル」。走行状態から輪行状態にし、その後輪行状態から走行状態に組み立てるまでの時間を計測しました。輪行状態では規定の荷物(ペットボトル8本)も一緒に輪行状態とし、車体と荷物を担ぐなどして移動可能である事を示す必要があります。

荷物も含めて自身で運べる状態である事を示します

二つ目は「輪行審査」。輪行に際するアイディア・手際等を評価します。

二つ目は「輪行審査」。

輪行に伴う分解・袋詰め・移動・組立の全工程を実演します。

5人の審査員はそれぞれ輪行に際する容易さ、アイディア、手際等を5段階で評価し、採点・集計をしました。

審査員の前で分解・組立の全工程を実演します
輪行タイムトライアル
Noチーム名分解組立合計
01戸田橋 cycle works0:110:080:19
02テンション シルク0:180:120:30
03montson0:140:040:18
04KAWAKAMI TITANIUM0:150:170:32
05Hyozen Plant0:130:130:26
06グランボア0:160:230:39
07オオマエジムショ0:170:120:29
08NAGARA 自作自転車秘密研究所0:100:090:19
09Panasonic0:050:050:10
10グランボアebike0:190:210:40
輪行審査
Noチーム名Point
01戸田橋 cycle works500
02テンション シルク375
03montson425
04KAWAKAMI TITANIUM225
05Hyozen Plant275
06グランボア275
07オオマエジムショ225
08NAGARA 自作自転車秘密研究所475
09Panasonic400
10グランボアebike400

輪行タイムトライアルでは、2019年大会でこの種目で苦戦した経験から独自の工夫を組み込んだ「09 Panasonic」が圧倒的に速い時間を記録しました。

一方で、一般的な輪行方式を採りながら組立時間でPanasonicを上回る時間を実現した「03 montson」の健闘が目立ちます。

輪行審査については、輪行に際して工程を容易にする為の様々な工夫を盛り込んだ「01 戸田橋 cycle works」が高い評価を受けました。また、オーソドックスな方式ながら荷物の積載方法等に工夫をし、実用的な輪行を実現した「03 montson」も高い評価を受けました。

合計ポイント

Noチーム名合計ポイント
01戸田橋 cycle works3,075
02テンション シルク8,435
03montson4,085
04KAWAKAMI TITANIUM8,595
05Hyozen Plant-4,825
06グランボア4,965
07オオマエジムショ4,810
08NAGARA 自作自転車秘密研究所6,825
09Panasonic1,930
10グランボアebike-1,295

採点に際し「重量」を主な評価ポイントとして設定していたため、電動アシスト機構を搭載した2チームには不利な結果となりました。